宮崎駿監督が連載していた漫画を自らアニメ映画化した。
「風たちぬ」
「生きねば。」がテーマの今作は
実在の航空技術者である堀越二郎がモデルになっており、堀辰雄の小説からの着想も盛り込まれています。
1920年代の日本が舞台になっており不景気、病気、そして大震災が描かれており
そのことから、この作品には他のジブリ作品とは少し違いシリアスで重く刺さるシーンも出てきます。
今作の中で一つの大きなキーワードになっている結核という病気が出てきます。
今回はこの結核というキーワードを中心に書いていけたらと思います。
風立ちぬ・結核はキスで感染する?
100%感染することはないですが、感染する可能性は高くなるというのが答えになってくるでしょう。
結核は空気感染する病気です。
結核菌を肺へ吸い込むことが原因となります。
握手、食事・飲み物のシェア、寝具や便座を通じた接触、歯ブラシの共有、キスなどでは感染しないようですね。
感染しても発病しないケースがあるため、根絶には感染の早期発見・早期治療が重要となるらしいです。
ちなみに感染しても、発病 する人は 10 人の うち1~2人のようです。
しかし、当時はほとんど打つ手のない病であり、この病によって若くして命を落とす人が少なくなかったみたいですね。
キスの意味
映画を見ているとかなり多くキスをするシーンが出てきますよね。
主人公の二郎は、再会した菜穂子と恋に落ちます、菜穂子は当時「死の病」である結核の患者であることを告白しましたよね。
二郎は、それにも構わず菜穂子と結婚します。
初夜を共にし、後半はジブリにはあまり見られないキスシーンが多く出てきます。
しかし、このキスシーンには宮崎駿監督の強い思いが込められていると思われます。
上記で書いたように感染るリスクがゼロではありません。
一緒にいれば、せきやくしゃみをすることだってありますよね。
つまり二郎が菜穂子とキスするという意味は、余命わずかな菜穂子のために愛の思い出を与えてあげたい。
という思いもありますが、
自分がキスのために結核に感染して菜穂子と共倒れになって死んでもかまわない、という二郎の強い意思も同時に表しているんですね。
しかも、二郎は国のために国家機密である戦闘機の設計をしていますよね。
本来、国のために仕事第一であるはずなのに、
「国より、菜穂子と愛のために死ぬ」
方を選ぶという、そこまでの想いが菜穂子とのキスシーンには意味が込められているんですね。
菜穂子が病院の外のベットに寝ていた意味
結核の治療法のひとつ、大気安静療法を行っていたからです。
作中にも特に説明が無かったのでなんだこれ?と思いましたが治療法だったようですね。
昭和初期には結核の治療薬等はなく、これが正規の治療法だったようです。
結核の治療法は安静にして栄養を取る方法しか当時はありませんでした。
この療法はサナトリウム療法とも呼ばれ、ヨーロッパでも行われていたようです。
結核菌は紫外線に弱いらしく、太陽の光によって殺菌するという意味もあるようです。
感染を避けるためにも、室内ではなく外のキレイな空気を吸うことによって、精神の安定や栄養の循環を良くする効果があったようですね。
どこの病院?
長野県富士見町にある「富士見高原療養所」がモデルになっています。
菜穂子が入院していた高原病院のモデルとなった「富士見高原療養所」について長野県富士見町の公式HPでも、宮崎駿監督がインスピレーションを受けた堀辰雄の「風立ちぬ」の舞台になったと触れられているようです。
まとめ
今回は「風たちぬ」の中に出てくる結核をテーマに書いていきました。
現在、世界ではコロナウイルスという脅威に晒されていますよね。
そんな現代とリンクして見える部分も多くあって今見るべき作品ではないかと強く思いました。
もう見た方も初めての方も、風立ちぬをご覧になってはいかがでしょうか。
最後までありがとうございました。
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